あのなぁ、先入観で行動すると人なんかすぐ殺せちゃうからな！！
まあ、どこの世界もどこの会社も先輩がいて後輩もいるわけで
後輩は先輩の言っていることは正しいとなぜか思ってしまいますよね。
逆に先輩は後輩よりも私の言っていることの方が正しいなんて
思っちゃってませんか？根拠もないのに。
ここで私の病棟の話しをさせてください。（実話）
新人看護師が心房細動（AF）の患者を受け持っていたんですが
AFの患者の既往歴には肺炎、心不全などがあったんですけど
胸水も溜っててその患者は呼吸状態が良くなくて酸素投与してたんですね。
平均的に酸素５L投与で調子のいい時は２L投与みたいな感じで。
その患者はすっごいおしゃべりな感じのひとで高齢者で認知症でも
あったのですが、看護師が訪室するとマシンガントークが始まるんです。
「おねーちゃん！！！晩御飯まだ？」
「まだ食べてないよ」
「え？今は朝なの」
「私コンビニにお買い物に行かないといけないの」
みたいな感じでずっと。
その日は夜勤だったのですがその患者はいつもの調子でずっと
しゃべってて、まあ夜は寝てくれたんですけどね
それで朝になってその患者が起きなかったので
新人看護師が起こしにいったんです。
患者は起きたのですがいまいちパッとしない。
全然しゃべらないし、なんかぼーっとしてて
全然活気ない感じで。
新人看護師はあれ？おかしいなっておもって先輩看護師に相談したのです
それで先輩看護師と一緒に見に行ったのです。
それで先輩看護師がその患者をみて疾患はなに？って
新人に聞いたのです。
新人はAFです。と、答えました。
すると先輩は、脳梗塞だわ。これは。
心房細動の人はよく血栓が脳に飛ぶんだよ。
と、説明し当直医に報告するようにいいました。
当直医はまだ経験があさい消化器内科の先生でした。
その脳梗塞って言った看護師はキャリア２０年のベテランです。
だれもその脳梗塞だとうことを疑わずに脳梗塞患者として
対応しました。
でも、瞳孔反射もある。MMTも５で指示もすべて通る感じだったのです。
でも、みんなその「先入観」からはなれることができずに「脳梗塞」として
「脳梗塞」を証明しようとし検査を続けました。
それを、聞いていた関係のない４年目の看護師が
脳梗塞って２０年の先輩がいってたけどその患者酸素投与を毎日５Lしてたんだよね。
CO２ナルコーシスの可能性も考えられるんじゃない？
って、思い先生に報告し動脈ガスをとってもらいました。
結果はなんとCO２ナルコーシスだったのです。
CO2ナルコーシスって簡単にいうと日常的にたくさんの酸素投与をしていると
あ、自分呼吸しなくてもいいんだ。酸素沢山あるし。
みたいな感じで呼吸をしろっていう人間の機能がバカになって酸素化が図れず
意識レベルが低下したりするんだけど
これをみてる、医療者の方ならすぐに分かったのではないでしょうか？
いや、普通にCO２ナルコーシスの可能性も大きいってね。
でも、その場にいた看護師も新人Dr.もみんな先入観にとらわれ
その他の可能性を一切考えていなかったのです。
２０年の先輩看護師が言ってるから間違いないだろうって。
「自分のアタマで考えよう」「できることは全部しないといけない」
これが大切だと私は思います。
今、考えられることすべてをあげていく。
今、自分ができることすべてをする。
それが間違っていても、その病気じゃなくても
なんでもいいんです。
貴方がはずかしい思いをするのは一瞬ですけど、
命は一度消えたらもう戻りません。
その場に私はいませんでしたがきっとその空間を
「先入観」が支配していたんだと思います。
そして、自分を知識のない人間だからと自分のアタマで考えずに
先輩に口出しはまずい。
とかも、おもったりしたのではないのでしょうか？
これを読んでくれた新人医療者の方は
「絶対自分のできるすべてのアセスメントをしてください」
「必ず多方面からみる」
「これは思い込みでは？先入観では？っといつでも疑って心を真っ白にした状態で
患者を診て下さい」
あなたのその判断で患者はいつでも死にます。
（あ、安心してくださいこの事例の患者は死んでいませんよ(⌒∇⌒)
危ないところでしたが）
Fin...
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